マンション駐輪場でよくあるクレームの解決法とは?
都市部のマンションでは駐輪場が不足し、小学生や女性、高齢者に使いにくい駐輪ラックが問題となっています。台数制限や有料化、不法駐輪もクレームの原因です。これらの問題を解決するためには、駐輪許可証の発行や警告、スペースの区切りが必要です。
目次
国内の自転車保有率は非常に高い
自転車は子どもからお年寄りまで、誰でも気軽に利用できる便利な交通手段です。日常生活での通勤・通学、買い物といった移動手段としてはもちろん、サイクリングなどの余暇活動にも広く活用されています。
一般財団法人自転車産業振興協会のデータによれば、2021年の自転車保有台数は約5,724万台で、日本の人口に対して1人あたり約0.46台、1世帯あたりでは約1.03台の自転車を保有している計算です。
日本の大阪市は第6位、東京は13位にランクインしており、欧州諸国にも劣らない自転車利用の普及状況です。自転車産業振興協会によると、2018年の調査に比べ、2021年の調査では自転車保有率は6.7ポイント減少していますが、それでも自転車の保有世帯は約60%に上ります。
出典元:一般財団法人 自転車産業振興協会
マンションの駐輪場は不足している?
都市部に多いマンションでは、必然的に効率を考えて設計されるのが一般的です。地価も高いため、スペースなども限られてきますが、そこで影響を受けるのが駐輪場施設といえるでしょう。
さまざまな要素を検討したうえでマンションを購入した後、駐輪場が使い勝手が悪いことに気付くこともあります。駐輪場を増設施工しようとしても、敷地内に増設スペースが全くないことが判明することが多いです。
比較的郊外のマンションでは敷地に余裕があり、平置きの駐輪場が多く見られますが、都心のマンションでは狭い敷地のため、上下2段式やスライドラック式の駐輪ラックが一般的となっています。これらのラックは特に小学生や女性、高齢者には使いにくく、住戸ごとに1~2台分しか割り当てがないのが現状です。
ファミリータイプのマンションで1戸あたり1~2台の駐輪スペースでは不足しがちの傾向にあります。子どもが成長し自転車を欲しがるようになり、家族全員で3~4台の自転車が必要になることもあるものです。チャイルドシート付き自転車の大型化や、高齢者用の3輪自転車の駐輪スペース不足も問題となります。
駐輪区画が不足しているマンションでは、自転車がエントランス前や各戸の玄関前に放置されることが多いです。特に玄関前の駐輪は消防法に抵触する可能性があり問題となります。こうした状況では、「管理が行き届いていないマンション」と見なされてしまうことになるのです。
マンション駐輪場でよくあるクレームとは?
画像出典:フォトAC
マンションを管理する上で、住民のクレームに対応したり、要望に応えたりしなければならないこともあるでしょう。ここでは、マンション駐輪場でよくあるクレームをご紹介します。
◇台数の制限
駐輪スペースが限られているため、管理規約で部屋ごとに駐輪台数を制限することがあります。特にファミリータイプのマンションで多く見られるこの制限ですが、4人家族が4台の自転車を必要とする場合、入居後にこの制限が発覚すると入居者からのクレームに繋がることがあります。
◇有料
駐輪場の利用には月数百円から年額払いまでの料金がかかる場合がありますが、年額払いでは途中解約の返金がないことが多いです。駐輪場の利用料金が入居後に案内されると、入居者にとって予想外の負担になります。
トラブルを防ぐためには、料金や台数制限、許可ステッカーの有無など、駐輪にかかる費用を明確に提示することが重要です。
◇サイズの大きい自転車
駐輪場に電動自転車が収まらないというトラブルもあります。分譲マンションでは2段式の駐輪ラックが採用されることが多く、普通の自転車は駐輪できますが、タイヤの分厚いマウンテンバイクや電動自転車、チャイルドシート付き自転車などはサイズの問題で入らない場合があります。
特に2段式のラックの場合、下の自転車がチャイルドシート付の場合、上に停めにくくなるのも起こりうるクレームです。
◇放置自転車
駐輪場では、不法駐輪や近隣の人が勝手に自転車を置く問題が発生しがちです。駐輪場が広く、スペースに余裕があるほど、このような問題が増えます。
不法駐輪であっても、勝手に自転車を処分することはできません。勝手に自転車を処分して持ち主からクレームがあった場合、賠償請求される恐れがあります。
マンション駐輪場でよくあるクレームを解決するには?
マンションの駐輪場では問題が起こりやすく、クレームもつきものだということがわかりました。クレームが出たときには、しっかりと対処し、解決に導くことが重要です。ここでは、クレームの解決方法を解説します。
◇駐輪許可証の発行
無断駐輪を防止するために、まず駐輪許可証を発行しましょう。ホームセンターなどで販売されているシールに連番で番号を記入し、どの番号のステッカーをどの号室の誰に配布したかを記録する台帳を作成します。これにより、駐輪許可証がない自転車は無断駐輪と判断が可能となります。
◇放置自転車への警告
不法駐輪に対しては、警告文を自転車のハンドル付近に取り付け、以下の点を記載しましょう。
・不法駐輪であること
・○月○日までに撤去しなければ自転車を撤去・保管すること
・一定期間連絡がなければ処分すること
・撤去費用として○○円を請求すること
処分後にクレームがあった場合、保管や撤去費用を請求し、損害賠償は相殺です。警告後、期限が過ぎたら自転車を撤去し、元の場所には撤去を知らせる連絡先の張り紙を残します。
◇必要台数の算出
常時満車の場合、考えられるのが駐輪スペースの数がそもそも不足しているケースです。「現在何台駐輪しているか、今後何台増減する予定があるか」を確認し、その不足分を補うための対策を講じるか、総会で協議します。
◇スペースを区切る
駐輪ラックを利用できない人が多い場合、敷地内のデッドスペースを活用して平面駐輪場を増設する方法を検討しましょう。各駐輪スペースを区切って明確にし、徴収する料金に差を設けることで、駐輪ラックと平面駐輪場の選択肢を増やすことが可能です。
またスペースを区切ることで、誰のスペースかを明確にし、入居者以外の無断駐輪を抑止する効果も期待できます。
国内の自転車保有率は高く、2021年の保有台数は約5,724万台で、1人あたり約0.46台、1世帯あたり約1.03台の自転車が普及しています。日本の都市でも欧州諸国に匹敵する利用状況で、保有率は約60%です。
しかし都市部のマンションでは駐輪場が不足しがちで、特に小学生や女性、高齢者には上下2段式やスライドラック式の駐輪ラックが使いにくいとされています。駐輪スペースが限られているため、台数制限や有料化がクレームの原因となり、不法駐輪や放置自転車の問題も発生しています。
これらの問題を解決するためには、駐輪許可証の発行や警告、スペースの区切るといった対応が必要です。