【PR】

マンション駐輪場の修理・リニューアルガイド|おすすめ商社・メーカー2選

駐輪場の手引き

駐輪場の耐用年数は?メンテナンスのタイミングも解説

公開:2024.09.30 更新:2025.04.21
駐輪場の耐用年数は?メンテナンスのタイミングも解説
引用元:Photo AC

駐輪場の耐用年数は、経営者にとって重要なポイントであり、法令に定められた年数が各設備に適用されています。たとえば、合成樹脂製の屋根は10年、金属製の日よけ設備は15年、サイクルラックは10年、アスファルト舗装は10年とされています。

これらの設備は耐用年数を超えても適切なメンテナンスを行えば使用可能ですが、定期的な点検や修理が必要です。特に安全に関わる部分は早期の修繕が求められます。

また、劣化が進行しやすいアスファルトや屋根、サイクルラックについても、清掃や補修を行い、駐輪場全体の寿命を延ばすことが重要です。適切なメンテナンスは、入居者の満足度を高め、修繕コストを削減するために有効です。

駐輪場の耐用年数は?

駐輪場
引用元:photo AC

駐輪場の耐用年数について考えることは、経営者にとって重要なポイントです。適切なメンテナンスと理解を持つことで、設備の寿命を最大限に延ばせます。以下では、法令上の耐用年数とその後の対応について詳しく解説します。

◇耐用年数とは

固定資産を取得してから価値がなくなるまでの期間は、「耐用年数」と呼ばれます。企業が建物や土地、車両、パソコンなどの備品を購入すると、それらは「固定資産」として扱われます。しかし、これらの資産は時間の経過とともに価値が減少していき、最終的には無価値になります。

この耐用年数は、資産の種類ごとに異なっており、それぞれ税法によって明確に定められています。固定資産の価値が年々減少する過程では、その減少分が「資産」から「費用」へと振り替えられ、会計上「減価償却費」として費用計上されます。

こうして、資産の価値は毎年少しずつ減っていき、耐用年数が終了すると、帳簿上の価値はゼロになるように計算されます。

なお、「耐用年数」と似た言葉に「耐久年数」がありますが、両者には明確な違いがあります。耐用年数は税法に基づき、固定資産として価値を持つ期間を指します。一方、耐久年数はメーカーが独自の検証によって定めた、製品が正常に使用できるとされる期間です。意味は似ているようでも、使用目的や基準が異なる点に注意が必要です。

◇法令上の耐用年数

駐輪場
引用元:photo AC

駐輪場の各設備には、それぞれ法令で定められた耐用年数があります。主な設備の耐用年数を解説します。

・屋根

合成樹脂製の屋根は10年、金属製の日よけ設備は15年とされています。これらの耐用年数は、材料の特性や使用環境によって異なることがありますが、一般的にはこの期間が目安となります。

・サイクルラックや駐輪装置

金属製のサイクルラックは10年の耐用年数が設定されています。これに対して、舗装路面については、アスファルト舗装が10年、コンクリート舗装が15年とされています。これらの舗装材は、使用頻度や気候条件によっても寿命が変わることがあります。

・ブロック塀

コンクリート製のものが15年の耐用年数とされています。

・その他

側溝や電気設備(蓄電池電源以外)も15年の耐用年数が設定されています。

◇法定耐用年数を超えたらどうなる?

法定耐用年数を超えた設備については、税法上の減価償却期間が終了するだけであり、必ずしも使用を停止する必要はありません。

耐用年数を超えても、不具合がなければ継続して使用することが可能です。実際、多くの駐輪場では、法定耐用年数を超えた設備を適切にメンテナンスしながら使用し続けています。

ただし、耐用年数を超えた設備は、劣化や故障のリスクが高まるため、定期的な点検と修理が重要です。特に、安全性に関わる部分については、早めの対応が求められます。

例えば、屋根やブロック塀のひび割れ、サイクルラックの錆びなどは、早期に修理することで大きなトラブルを防げます。

また、耐用年数を超えた設備を使用する場合、新しい設備への更新を検討することも一つの方法です。最新の設備は、耐久性や機能性が向上していることが多く、長期的な視点で見ればコストパフォーマンスが高い場合もあります。

【あわせて読みたい】

日本サンサイクルの機械式駐輪装置サイクルンゲートを紹介

耐用年数内であっても起こりうる駐輪場の劣化

駐輪場
画像出典:Photo AC

駐輪場は、日常的に多くの人々が利用するため、耐用年数内であっても劣化が進行することがあります。以下では、駐輪場の主要な部分であるアスファルト、屋根、サイクルラックの劣化について詳しく説明します。

◇アスファルトの劣化

アスファルトは、駐輪場の地面を構成する重要な要素です。しかし、時間の経過とともにひび割れや陥没などの劣化が発生します。

ひび割れは、主に経年劣化や車両の荷重によるものです。特に、繰り返しの荷重がかかることで、アスファルトの表面に亀裂が生じます。また、施工時の不備や路床・路盤の支持力低下もひび割れの原因となります。

陥没は、地下構造物の存在や水の影響によって発生しやすく、これが進行すると大規模な修繕が必要となります。

◇塗床の劣化にも注意

駐輪場
引用元:photo AC

床面に施す塗装、いわゆる塗床(ぬりゆか)は、下地の素材や使用される環境、選定する塗料、施工方法、さらには気温や湿度といった自然環境の影響を大きく受けます。そのため、塗床には明確な耐用年数や品質保証が設けられていないのが一般的です。

塗床の劣化は、施工時の下地調整や既存の下地の状態に大きく左右されます。施工条件によっては、塗膜が通常よりも早く劣化してしまうこともあります。

また、塗床は日々の摩耗や温度変化、油分・薬品・水分・線材などにさらされることで、徐々に傷みが進んでいきます。そうした劣化した下地にそのまま塗装を行うと、塗膜の剥がれやひび割れの原因となるため、下地処理は非常に重要です。

塗装を長く保たせるには、下地処理を丁寧に行う施工業者を選ぶことが欠かせません。下地の状態を見極め、適切な処置を施してから塗装することで、塗膜の密着性が高まり、仕上がりの美しさと耐久性が向上します。

著しく劣化した塗装素地では、塗膜による保護効果が十分に得られず、かえって劣化を早める恐れがあります。

塗床の品質を保つためには、施工前の下地確認と、確実な処理を行うことが何よりも重要です。安易に塗り重ねるのではなく、状況に応じた適切な対応が求められます。

◇屋根の劣化

駐輪場
引用元:photo AC

駐輪場の屋根は、雨風や紫外線から自転車を守る役割を果たしています。しかし、屋根も時間の経過とともに劣化が進行します。

これらの劣化を放置すると、雨漏りが発生し、駐輪場全体の使用に支障をきたす可能性があります。

・塩ビ波板

塩ビ波板は、塩化ビニールを素材とした波型の板で、比較的安価で加工しやすいという利点があります。こうした扱いやすさから、かつては広く使用されていましたが、現在では主流の素材とは言えなくなっています。

その理由の一つが、強度や耐久性の低さです。塩ビ波板は衝撃に弱く、強い力が加わると簡単に割れてしまいます。また、屋外で使用した場合には紫外線の影響を受けやすく、経年によって板が硬化し、触れただけで割れてしまうほど脆くなることもあります。

塩ビ製の波板は、紫外線による劣化が進むと色が変わったりひびが入ったりし、一般的には3年ほどで寿命を迎えることが多いとされています。実際には、すでに複数箇所にひび割れが生じ、屋根に大きな穴が開いてしまっている例も見受けられます。

・ポリカーボネート

駐輪場
引用元:photo AC

ポリカーボネート製の屋根材は、耐衝撃性や耐候性に優れている点が大きな特長です。そのため、カーポートやテラス屋根など、さまざまな用途で利用されています。しかしながら、こうした優れた特性を持つ一方で、経年による劣化の影響を受けることがあります。

たとえば、直射日光や高温環境のもとでは、ポリカーボネートが膨張し、逆に夜間や寒冷時には収縮します。この膨張と収縮の繰り返しにより、次第にひび割れや歪みが生じることがあります。また、強風や積雪などの物理的な荷重によっても、屋根材がたわんだり変形したりする恐れがあります。

さらに、長年にわたって紫外線を浴び続けると、ポリカーボネートの分子構造が劣化し、素材の強度が低下します。その結果、変形や破損が起こりやすくなります。

加えて、施工時の処理も重要です。取り付けの際に熱膨張を考慮した十分な間隔が確保されていないと、素材の伸縮を吸収できず、ひび割れや反りといったトラブルを招く原因になります。

・ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板の屋根は、錆びにくく耐久性に優れているのが大きな特長です。しかし、どれほど丈夫な素材でも、年数の経過とともに少しずつ劣化が進行します。

特に築5年を過ぎたあたりから塗装の劣化が始まり、10~15年が経つと見た目にも変化が表れます。築15年を超えると、部分的な補修では追いつかず、屋根全体のリフォームが必要になることもあります。

劣化の症状としてまず見られるのが、屋根材の浮きや棟部分の剥がれです。これは、長年の風雨や温度変化によって釘や固定部品が緩み、屋根がずれたり変形したりすることによって起こります。

また、ガルバリウム鋼板の表面には防錆のために塗装が施されていますが、この塗膜も時間とともに紫外線や雨風の影響を受けて剥がれたり、ひび割れたりします。

塗装が傷ついて素地の鋼板が露出すると、そこから赤サビが発生するおそれがあります。赤サビは一度出ると進行が早く、やがて屋根材の強度そのものを低下させてしまいます。

さらに、見落としがちな劣化のサインとして「色褪せ」も挙げられます。色褪せ自体はすぐに機能へ影響を及ぼすわけではありませんが、塗膜が劣化してきている証拠です。

◇サイクルラックの劣化

駐輪場
引用元:photo AC

サイクルラックは、自転車を安全に保管するための設備ですが、これも劣化することがあります。特に、可動部分が多い垂直2段式ラックやスライド式ラックは、動作不良を起こしやすいです。

ほこりや汚れが溜まることで、可動部分がスムーズに動かなくなり、最悪の場合、ラックが壊れてしまうこともあります。

◇劣化の兆候

駐輪場設備が劣化の兆候として、まず挙げられるのが「錆び」の発生です。多くの駐輪場は屋外や半屋外に設置されており、雨や湿気の影響を受けやすい環境にあります。特に海に近い地域では、潮風によって錆びの進行が早くなります。

錆びは見た目の問題だけではなく、金属の強度を低下させ、支柱やラックの接続部など重要な箇所で破損が起きるリスクを高めます。中でも、自転車を支える支柱や、上下に動かす部分の錆びは、安全性に関わるため特に注意が必要です。

次にラックの動作不良で、新品の状態では軽く持ち上がったラックが、年月が経つにつれて重く感じたり、動きがぎこちなくなったりすることがあります。これは主にスプリングの劣化が原因です。

最近では電動アシスト自転車の利用が増えており、車体が重いためスプリングへの負担が大きく、劣化も早まりやすくなっています。

さらに、自転車をしっかり固定できなくなった場合も、見逃せない劣化の朝です。固定用のストッパーが効かなくなると、自転車が倒れやすくなり、利用者にとって危険です。加えて、ラック本体の取り付け部分にガタつきが出てくると、使用中の不安定さや不快な騒音の原因にもなります。

【あわせて読みたい】

駐輪場のサイクルラックは定期的にメンテナンス・修理をしよう!

駐輪場のメンテナンス方法

駐輪場
引用元:photo AC

駐輪場のメンテナンスは、利用者の安全と快適さを保つために欠かせない作業です。適切なメンテナンスを行うことで、駐輪場の寿命を延ばし、利用者にとって快適な環境を提供することができます。以下では、アスファルト、屋根、サイクルラックのメンテナンス方法について詳しく説明します。

◇アスファルト

アスファルト舗装は、駐輪場の基盤を支える重要な要素です。アスファルトは耐久性が高く、重い車両が頻繁に通行する場所でも長期間使用できます。しかし、ひび割れや損傷が発生することがあります。

アスファルトのメンテナンスには、ひび割れの補修や表面の再舗装が含まれます。特に、雨水が溜まりやすい場所では、排水対策を講じることが重要です。アスファルトの寿命を延ばすためには、定期的な清掃と点検を行い、早期に問題を発見して対処することが大切です。

◇屋根

駐輪場
引用元:photo AC

駐輪場の屋根は、利用者の自転車を雨や日差しから守る役割を果たします。屋根のメンテナンスには、塗装、修繕、交換などが含まれます。まず、屋根の塗装は防水性を保つために重要です。
塗装が劣化すると、雨漏りの原因となるため、定期的な塗り替えが必要です。

塗装の流れとしては、まず高圧洗浄で屋根の表面をきれいにし、下塗り、中塗り、上塗りの順に塗料を塗布します。修繕が必要な場合は、破損箇所を補修し、必要に応じて部分的な交換を行います。

屋根のメンテナンスを怠ると、駐輪場全体の劣化を招くため、定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。

◇サイクルラック

駐輪場
引用元:photo AC

サイクルラックは、駐輪場の利用者が自転車を安全に停めるための設備です。サイクルラックのメンテナンスには、定期的な清掃と可動部分の点検が含まれます。

特に、垂直2段式ラックやスライド式ラックなどの可動部分は、ほこりや汚れが溜まりやすく、動作不良を引き起こすことがあります。これを防ぐために、高圧洗浄機を使用してラックを清掃し、可動部分には潤滑剤を注油します。

また、ラックを支えるボルトの緩みを確認し、必要に応じて増し締めを行います。定期的なメンテナンスを行うことで、サイクルラックの寿命を延ばし、利用者にとって安全で快適な駐輪環境を提供できます。

【あわせて読みたい】

駐輪場の耐用年数は?メンテナンスのタイミングも解説

駐輪場のメンテナンスを定期的に実施

駐輪場
引用元:photo AC

駐輪場のメンテナンスを定期的に行うことは、入居者の満足度を高め、修繕コストを削減するために非常に重要です。以下では、駐輪場のメンテナンスがどのようにこれらの効果をもたらすかについて詳しく説明します。

◇安全性が向上

駐輪場を定期的に点検・メンテナンスすることで、安全性が大きく向上します。特に地震の多い日本では、地震対策が駐輪場の安全性を保つうえで重要なポイントとなります。

古い駐輪場の中には、耐震性が不十分なものもあり、地震の際に倒壊や損傷のリスクが高くなります。そのため、最新の耐震基準に基づいた補強や改修を行うことで、利用者の安全を守ることが可能です。

さらに、駐輪場の老朽化が進むと、防犯性の低下も懸念されます。そうした問題に対応するためには、防犯カメラの設置や「ガチャロック」と呼ばれる個別ロックシステムの導入が有効です。

特にガチャロックは電源不要で設置できるため、手軽に始められる防犯対策として注目されています。

◇入居者の満足度がアップ

駐輪場
引用元:photo AC

駐輪場の整備が行き届いていると、入居者の満足度が大幅に向上します。駐輪場は日常的に利用される施設であり、その状態が良好であることは入居者にとって大きな安心感をもたらします。

例えば、駐輪スペースが清潔で整然としていると、自転車の盗難や破損のリスクが低減され、入居者は安心して自転車を利用できます。

また、定期的なメンテナンスにより、駐輪場の設備が常に良好な状態に保たれるため、入居者は快適に利用できます。さらに、駐輪場の整備が行き届いていることは、物件全体の印象を向上させる要因となります。

入居者は、管理が行き届いている物件に対して信頼感を抱きやすくなり、長期的な居住を希望する傾向があります。これにより、入居者の満足度が向上し、物件の価値も高まります。

◇修繕コストの削減

駐輪場
引用元:photo AC

駐輪場のメンテナンスを定期的に行うことで、修繕コストを大幅に削減できます。駐輪場は屋外に設置されていることが多く、風雨や紫外線などの自然環境にさらされるため、劣化が進みやすいです。

しかし、定期的なメンテナンスを行うことで、劣化の進行を遅らせることができ、長期間にわたって良好な状態を保つことができます。

例えば、駐輪場の塗装を定期的に行うことで、錆びや腐食を防げます。また、駐輪ラックやフェンスなどの設備の点検を定期的に行い、必要に応じて修繕や交換を行うことで、大規模な修繕が必要になる前に問題を解決できます。これにより、修繕コストを抑えられて、長期的なコスト削減につながります。

さらに、駐輪場のメンテナンスを定期的に行うことで、入居者からのクレームやトラブルを減少させられます。入居者が安心して利用できる環境を提供することで、トラブルの発生を防ぎ、管理コストを削減できます。

【あわせて読みたい】

駐輪場メンテナンスの頻度と費用は?年1回のチェックで住民も安心

駐輪場メンテナンスに適したタイミング

駐輪場
引用元:photo AC

駐輪場の耐用年数は20~30年で、15~20年を目安に修繕が理想的です。大規模修繕工事と同時に行うと効率的。塗装や金属部分の錆び対応、床の補修が重要で、快適かつ安全な環境を維持します。

◇ベストは15年~20年に一度

建物や駐車場と同様に、駐輪場も安全性を保ち、資産価値を維持するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。駐輪場の耐用年数は一般的に20~30年といわれており、15~20年を目安に本格的な修繕を検討するのが理想的です。

メンテナンスで最も重要となるのは、塗装の剥がれや金属部分の錆びへの対応です。特にラックやフェンスなどの金属製パーツは、風雨や湿気などの外部環境にさらされやすく、劣化が進行しやすい傾向があります。

塗装が剥がれると、そこから錆びが広がり、構造自体の強度が低下してしまう恐れがあります。早めの修繕によって、劣化の進行を防ぐことが大切です。

また、駐輪場の床面にはアスファルトやコンクリートが使われており、長年の使用でひび割れや凹みが生じることがあります。これらの損傷は、自転車の転倒やラックの不安定さにつながるため、パッチ補修や部分的な打ち直し、場合によっては全面舗装のやり直しが必要になることもあります。

さらに、既存の施設の修繕だけでなく、状況に応じて新しい駐輪場の設置を検討することも選択肢のひとつです。利用者のニーズや台数の増加に応じて設備を整えることで、より快適で安全な環境を整えることができます。

このように、駐輪場の維持管理を適切に行うことで、マンションの居住者が安心して自転車を利用できる環境を長く保つことが可能になります。

◇大規模修繕工事と同時に

駐輪場
引用元:photo AC

マンション内の駐輪場などの共用施設については、大規模修繕工事のタイミングにあわせてメンテナンスを行うことがあります。これは、効率よく修繕を進めるために有効な方法です。

マンションの大規模修繕工事は、決められた年数で自動的に実施されるものではありません。実際には、建物の劣化状況を踏まえて、管理組合が必要性を判断し、実施の有無や時期を決定します。

一般的には、築12~15年ごろに最初の大規模修繕を行うケースが多く、国土交通省のガイドラインなどでもこの時期がひとつの基準として紹介されています。そのため、多くのマンションではこの目安をもとに、長期修繕計画を立て、駐輪場などの共用施設の整備もあわせて検討していきます。

◇塗料や防水材などによっては周期が変動

駐輪場
引用元:photo AC

一般的に、大規模修繕工事は「12年周期」で計画されるケースが多く見られます。この周期が採用される理由のひとつとして、建物に使用されている塗料や防水材、シーリング材などの性能が低下し始める時期であることが挙げられます。

また、前回の修繕工事で補修した箇所の保証期間が切れるタイミングと重なることも、12年を目安とする背景にあります。

建物の外壁や屋上、バルコニーなどに使われている塗料や防水材は、雨風や直射日光にさらされる過酷な環境下で使われるため、高い耐久性を備えています。しかし、いかに高性能な材料であっても、10年を過ぎるころからは徐々に劣化の兆候が現れてきます。

例えば、外壁のひび割れ、タイルの浮きや剥がれ、防水層の傷みなどがその一例です。

【あわせて読みたい】

サイクルポートの維持管理!メンテナンスで長持ちさせるコツとお手入れ方法

駐輪場メンテナンスの実施事例

施工事例
引用元:株式会社ビシクレット

ここでは、実際に行われている駐輪場のメンテナンス事例をご紹介します。具体的な内容を知ることで、適切な時期や方法を見極める参考になるでしょう。

◇屋根の葺き替え

施工事例
引用元:株式会社ビシクレット

こちらの事例は、大阪市内のマンションにある駐輪場で実施されたメンテナンスです。設置から長年が経過し、サイクルポートの屋根は風雨の影響で劣化が進み、一部には割れも見られる状態でした。

このケースでは、屋根部分のみを取り替える「屋根の葺き替え工事」を実施しています。支柱や土台は状態が良好だったため残し、屋根材だけを新しいものへと交換しました。取り外した屋根材は、経年劣化で色あせや破損が見られたもので、新たに採用したのはポリカーボネート製の屋根材です。

このポリカーボネートは、紫外線の透過をほぼ防ぎながらも高い断熱性を持ち、アクリル板の約20倍という優れた耐衝撃性が特長です。

施工時間は約4時間と短く、居住者への影響を最小限に抑えながら、機能性と安全性の両面を向上させることができました。

◇床の塗り替え

施工事例
引用元:株式会社ビシクレット

この事例では、公共施設の駐輪場において塗床工事を行いました。利用者の安全性を高めたいという要望があり、「滑りにくく、かつ高い強度を持たせたい」との条件に合わせて、高防滑タイプのエポキシ樹脂(厚さ3mm)による施工を実施しています。この仕上げにより、雨天時でも滑りにくい床面となり、安全対策として大きな効果を発揮しています。

もう一つの事例では、別の駐輪場で床の改修工事を行いました。まず、既存の床塗装をライナックスK30で研削処理したうえで、仕上げ材として無機系の素材を使用し、色分けして施工を行いました。さらに、ライン引き塗装を加えることで、駐輪スペースを明確に区分けし、利用者にとって分かりやすく、整然としたレイアウトを実現しています。

◇サイクルラックの入れ替え

施工事例
引用元:株式会社ビシクレット

この事例では、スライドラックの故障が増加したことを受けて、ラック全体の入れ替え工事を行いました。  

特に問題となっていたのは、スライドラックのローラー部分の破損です。破損した部品の破片がスライドレールの上に多数落ちており、それが原因でスムーズな操作ができなくなっていました。このまま放置すれば、現在は問題のないラックにも故障が波及する可能性が高いと判断し、駐輪場全体のスライドラックを新しいものに交換することになりました。

また、既存のラックはかなり密集して設置されていたため、自転車をすべてのラックに駐輪すると、動かしにくくなるという問題もありました。そこで、新しいラックには上段に垂直昇降式を採用し、下段には自動解除機能付きを取り入れることで、使いやすさと快適性の向上を図りました。

【あわせて読みたい】

サイクルポートを長持ちさせるコツとメンテナンスの仕方を徹底解説

駐輪場の新設・改修のおすすめメーカー3選

駐輪設備を専門に取り扱うメーカーの中から、特に信頼できる3社を厳選し、それぞれの特長をご紹介します。

◇日本サンサイクル株式会社

日本サンサイクル株式会社
引用元:日本サンサイクル株式会社

日本サンサイクル株式会社は、創業から40年を迎える実績豊富な企業で、駐輪場設備の設計・施工において高い信頼を集めています。マンションや公共施設、商業施設など、さまざまな現場で起こる駐輪場の悩みに対応できる柔軟さが同社の大きな特徴です。

設計から製造、施工、営業サポートに至るまで、すべての工程を自社で一貫して行える体制を整えており、細かな要望にもスピーディーに対応できます。国内外に広がるネットワークを活用し、材料の調達も含めた柔軟な対応力を備えている点も強みです。

これまでの施工事例では、既存の駐輪場にラックを増設して収納台数を大幅に増やしたり、大型自転車に対応したラックを導入しながら通路の幅も確保するなど、限られたスペースを有効活用する工夫が光っています。また、自転車同士の接触を防ぐ設計や、出し入れのしやすさを重視した構造によって、利用者の満足度も高く評価されています。

会社名日本サンサイクル株式会社
所在地〒103-0014
東京都中央区日本橋蛎殻町1-7-9
電話番号03-3639-4911
公式ホームページhttps://www.sancycle.co.jp/

日本サンサイクル株式会社では、駐輪場の管理運営もお手伝いもしています。駐輪場の管理でお困りの場合はぜひご相談ください! 

日本サンサイクル株式会社について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。

日本サンサイクルは駐輪場・駐車場の管理・運営をサポート

さらに詳しい情報は公式ホームページでも確認できます。ぜひチェックしてみてください。

日本サンサイクル株式会社の公式ホームページはこちら

◇株式会社内藤ハウス

株式会社内藤ハウス
引用元:株式会社内藤ハウス

株式会社内藤ハウスは、1967年に「内藤ハウス製作所」として創業し、システム建築やプレハブ建築、自走式立体駐車場など、幅広い建設事業を手がけてきた実績ある企業です。

自社工場を保有しており、提案から設計・施工、アフターメンテナンスまでを一貫して対応できる体制が整っている点が大きな強みです。多様なニーズに応じて最適な提案を行う姿勢は、顧客から高く評価されています。

これまでの施工事例では、駐輪場運営会社との連携により、経済性・利便性・安全性を兼ね備えたプランを実現。鉄道高架下の未利用地や駐車場の空きスペースを活用して、駐輪場を併設するなど、土地の有効活用にも貢献しています。また、駐輪スペースの不足を解消するため、立体駐輪場の設置にも取り組んでいます。

会社名株式会社内藤ハウス
所在地〒407-8510
山梨県韮崎市円野町上円井3139
電話番号0551-27-2131
公式ホームページhttps://www.naitohouse.co.jp/

さらに、手すりの設計を工夫して外部からの視認性を高めたり、照明を明るくすることで防犯性を向上させるなど、安全面にも配慮した施工を行っています。

こちらも併せてご覧ください。

【マンション駐輪場修理・ リニューアル】おすすめ商社・メーカー

◇株式会社ダイケン

株式会社ダイケン
引用元:株式会社ダイケン

株式会社ダイケンは、1924年に創業した老舗企業で、公共施設から住宅に至るまで、あらゆる空間に「快適さ」と「安心」を届ける製品やサービスを提供してきました。

「生活者の視点に立ち、よりよい都市空間を創造する」という理念を掲げ、住まい・街・社会のそれぞれにふさわしい環境づくりに一貫して取り組んでいます。

これまでの施工事例の一つとして、経年劣化により老朽化が進んだ駐輪場の屋根改修工事があります。この現場では、長年の使用により錆びついてしまった屋根パネルの交換が求められました。

具体的な工程としては、まず古くなった屋根パネルを丁寧に撤去し、柱・梁・母屋といった鉄骨部分は再利用する方針を採用。その後、鉄骨に錆止め処理と塗装を施し、耐久性に優れた新しいスチール製の屋根パネルを取り付けました。

会社名株式会社ダイケン
所在地〒532-0033
大阪府大阪市淀川区新高2-7-13
電話番号06-6392-5551
公式ホームページhttps://www.daiken.ne.jp/

さらに、雨仕舞いや取り合い部分など細部の補修もしっかり行い、見た目の美しさと安全性を両立した仕上がりとなっています。

株式会社ダイケンについて詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。

ダイケンは豊富な商品ラインアップで駐輪場のお悩みを解決


駐輪場の耐用年数を把握し、適切にメンテナンスを行うことは、施設運営者にとって非常に重要な課題です。法令に基づいて各設備には耐用年数が定められており、これに基づいた管理が求められます。

例えば、合成樹脂製の屋根は10年、金属製の日よけ設備は15年が目安とされています。サイクルラックも同様に金属製であれば10年の耐用年数が設定されており、舗装路面ではアスファルト舗装が10年、コンクリート舗装は15年となっています。

耐用年数を超えても、不具合がなければ設備を継続して使用できる場合もあります。しかし、耐用年数を超えた設備は劣化や故障のリスクが高まりやすく、特に安全面での注意が必要です。例えば、屋根やブロック塀のひび割れ、サイクルラックの錆びなどの問題は、早期に修理を行うことで大きなトラブルを未然に防げます。

さらに、駐輪場は日常的に多くの利用者が使用するため、耐用年数内であっても劣化が進むことがあります。アスファルトのひび割れや陥没、屋根の錆びや腐食、サイクルラックの可動部分の不具合など、これらの劣化は利用者の安全性に影響を与える可能性があるため、定期的な点検と早期対応が不可欠です。 駐輪場のメンテナンスを定期的に実施することで、入居者の満足度を向上させ、修繕コストの削減にもつながります。整備の行き届いた駐輪場は、入居者に安心感を与え、物件全体の印象も向上します。また、定期的なメンテナンスによって大規模な修繕を未然に防ぐことができるため、長期的には修繕コストの削減にも寄与します。