電動キックボードは駐輪場へ停められる?
電動キックボードは、環境に優しい交通手段として注目されていますが、道路交通法上では「車両」として分類され、原動機付自転車に該当します。駐車場所に関する規定は不明確で、自治体ごとに異なる対応がなされているのが現状です。
ただし、電動キックボード専用の駐輪スペースを定めていないと、共用廊下や路上への放置が起こりかねません。既存の駐輪場を有効活用するする、あるいは電動キックボード専用の駐輪スペースを新設するなどの対策が必要です。
目次
電動キックボードとは?
電動キックボードは、近年急速に普及している新しい移動手段です。都市部での短距離移動や観光地での利用が増えており、環境に優しい交通手段として注目されています
。しかし、その利用には法的な規制やルールが存在します。この記事では、電動キックボードの基本情報と法的な位置づけについて詳しく解説します。
◇電動キックボードは「車両」
電動キックボードは、道路交通法上「車両」として分類されます。これは、電動モーターを動力源とするためです。
具体的には、定格出力が0.60キロワット以下の電動キックボードは「原動機付自転車」に該当し、さらに大きさや最高速度などの基準を満たすものは「特定小型原動機付自転車」として分類されます。
電動キックボードは自転車や歩行者とは異なり、運転にはナンバープレートの取り付けや自賠責保険への加入が義務付けられています。
また、ヘルメットの着用は努力義務とされていますが、安全のために着用が推奨されています。さらに、電動キックボードは車道を通行することが基本であり、歩道を走行することは原則として禁止されています。
◇運転免許が不要
2023年の道路交通法改正により、一定の基準を満たす電動キックボードは運転免許が不要となりました。この改正により、16歳以上であれば誰でも運転できるようになりました。ただし、16歳未満の運転は禁止されており、違反した場合には罰則が科されます。
運転免許が不要となる電動キックボードは、「特定小型原動機付自転車」として定義され、以下の基準を満たす必要があります。
1.車体の長さが190センチメートル以下、幅が60センチメートル以下であること
2.定格出力が0.60キロワット以下の電動モーターを使用し、時速20キロメートルを超えない構造であること
3.最高速度表示灯が装備されていること
電動キックボードは駐輪場へ停められる?
電動キックボードの普及が進む中、駐輪場に停められるかどうかは多くの利用者にとって重要な問題です。特に都市部では駐輪スペースの確保が課題となっており、電動キックボードの駐車場所についてのルールや実際の運用状況を理解することが必要です。
◇法律上では明確に定められていない
特定小型原動機付自転車として分類される電動キックボードは、法律上は50cc以下の原付と同じ扱いを受けます。しかし、現行の法律では、電動キックボードの駐車場所について明確な規定はありません。
サイズ的には一般的な自転車駐輪場に停めることも可能ですが、認められているかは、施設管理者の判断に委ねられることが多い傾向にあります。
◇自治体によって扱いが異なる
電動キックボードの駐車場所については、自治体ごとに異なる対応が取られています。
例えば、東京都の練馬区では市営駐輪場の原付置き場に電動キックボードを駐車することが可能です。一方、江戸川区では特定小型原動機付自転車として認められている場合、平置き駐輪場に駐車できます。
このように、自治体によって対応が異なるため、利用者は事前に各自治体のルールを確認することが重要です。
また、多くの自治体では、電動キックボードを「一般原付」として扱っています。これは、電動キックボードが自走可能であり、一定の速度を出すことができるためです。
そのため、駐輪場の利用に関しても一般原付と同様のルールが適用される可能性が高いと言えます。例えば、練馬区では市営駐輪場の原付置き場に駐車することが認められていますが、これは一般原付としての扱いを受けているためです。一方で、江戸川区では特定小型原動機付自転車として認められている場合に限り、平置き駐輪場に駐車できます。
駐輪場に電動キックボードを停められるようにする方法
都市部での交通手段として人気が高まっている電動キックボードですが、その普及に伴い、駐輪スペースの確保が課題となっています。この記事では、電動キックボード専用の駐輪スペースを新設する方法について詳しく解説します。
◇電動キックボード専用スペースを新設する
電動キックボードはその構造上、自転車用ラックに停めることが難しい場合があります。そのため、専用の駐輪スペースを設けることが重要です。
具体的には、白線で区切った平置きのスペースを作る方法があります。このスペースには柵を設け、アースロックができるようにすることで、盗難防止効果を高められます。
◇駐輪場内にスペースを設ける
既存の駐輪場を有効活用する方法として、電動キックボード専用スペースを空ける方法もあります。一段式の自転車ラックを二段式に入れ替えると、1台のラックで2台収容できるため、その分スペースを空けられます。空いたスペースを電動キックボード置き場として活用するとよいでしょう。
この方法ならば、駐輪場全体の収容力を高めつつ、電動キックボードの駐輪スペースも確保できます。
住民への早期通達でトラブルを回避
マンションやアパートなどの集合住宅では、住民同士のトラブルが発生しやすい環境です。特に共用部分の使い方や電動キックボードの駐車に関する問題は、日常生活において頻繁に起こりがちです。これらのトラブルを未然に防ぐためには、住民への早期通達が重要です。
以下では、共用廊下への私物放置と違法駐車について詳しく説明します。
◇共用廊下への放置
電動キックボード専用の駐車場がない場合、やむを得ず共用廊下に電動キックボードを置かれる可能性があります。
共用廊下に私物を置くことは、消防法や自治体の火災予防条例に違反する行為です。共用廊下は避難経路として確保されているため、私物を置くことで避難の妨げになる可能性があります。
例えば、ベビーカーや自転車、傘立てなどが共用廊下に置かれていることがありますが、これらはすべて撤去する必要があります。火災や地震が発生した際に、避難経路が確保されていないと大きな危険が伴います。
◇違法駐車
マンション周辺の歩道や道路に違法駐車をすることは、交通の妨げになるだけでなく、緊急車両の通行を妨げることにもなります。
特に電動キックボードの違法駐車が問題となっています。電動キックボードは、原動機付自転車と同じ扱いを受けるため、駐車場所には注意が必要で、歩道や車道の脇に停めることは違法であり、専用の駐輪場に停めなければなりません。
電動キックボードを停めてはいけない場所としては、交差点や横断歩道、自転車横断帯、踏切、坂の頂上付近などが挙げられます。これらの場所に停めると、他の交通の妨げになるだけでなく、事故の原因にもなるからです。また、駐車禁止の標識がある場所や、消防用設備の近くにも停めてはなりません。
電動キックボードは、都市部での短距離移動や観光地での利用が増加している新しい移動手段で、特に環境に優しい交通手段として注目されています。
法的には道路交通法上「車両」として分類されており、原動機付自転車に該当します。このため、ナンバープレートの取り付けや自賠責保険の加入が義務付けられており、基本的には車道を通行する必要があります。
2023年の法改正により、一定の条件を満たす電動キックボードは運転免許が不要となり、16歳以上であれば誰でも運転が可能になりました。これにより利用者層が広がっていますが、駐車場所に関する規定が不明確で、自治体ごとに対応が異なるのが現状です。 そのため、電動キックボードの違法駐車や共有部分への放置などが問題となっており、専用スペースの新設や既存の駐輪場の有効活用が急務です。特にマンションやアパートなどの集合住宅では、住民間のトラブルを避けるため、駐輪スペースの確保や事前の住民通達が重要な対策となります。