マンション駐輪場で電動自転車が抱える問題とは?改修事例を紹介
電動自転車の出荷数は急増しており、子乗せタイプの普及やバッテリーの改良が利便性を高め、共働き世帯や子育て世代に人気です。しかし、マンションの駐輪場では重さやサイズが原因でスペースの制限やラックの破損が発生しています。解決には現状把握やスペース分け、垂直2段式ラックへの改修が効果的です。
目次
電動自転車の出荷数は増加傾向?
電動自転車の出荷数は、近年急速に増加しており、2020年には国内で約74万台が出荷され、2021年には前年比108%増の台数を記録しました。2022年以降も増加傾向が続き、2022年には約60万台、2023年には約57万台が生産されました。
この増加の背景には、子乗せタイプの普及が挙げられます。昔の子乗せ自転車は、チャイルドシートを単に取り付けるだけでしたが、最新のモデルは子どもを乗せやすくするために進化しました。また、車輪が小さく重心が低いため乗り降りしやすく、安全性も高められています。
さらに、バッテリーの軽量化と大容量化も進み、電動自転車の利便性が向上しています。共働き世帯や子育て世代にとっては、生活に欠かせないアイテムとなりつつあります。
電動自転車の需要は今後も拡大し、市場はさらなる成長が期待されるでしょう。
出典元:自転車産業振興協会
電動自転車はマンション駐輪場に停めにくい?トラブルや問題が発生
電動自転車の普及に伴い、マンションの駐輪場での利用も増加していますが、その重量やサイズの大きさから、駐輪に関するさまざまなトラブルや問題が発生しています。
特に、自転車ラックの破損やセンサーの故障、他の自転車との干渉による駐輪スペースの制限などが挙げられます。円滑な駐輪環境を整備するためには、適切な設計やメンテナンスが必要です。
◇ラックに車輪がはまらない
マンションの駐輪場では、2段式の自転車ラックが使われることがありますが、自転車の種類やサイズの違いから駐輪が難しくなることがあります。一般的な2段式ラックは、上段が25kg、下段が30kgまでの重量、タイヤ幅が35mmまでを想定しています。
しかし、タイヤが太くて重い自転車はラックに収まらず、タイヤが細い自転車は固定できずに斜めになることがあります。このような状況では、駐輪スペースが狭くなり、他の自転車と接触してしまうこともあります。
さらに、一部のマンションでは、電動自転車の重さに耐えられずにラックが破損するケースも報告されています。
◇2段式の上段への駐輪は難しい
電動自転車は重くて取り扱いが難しいため、上段への駐輪や持ち上げ下ろしが困難なことがあります。管理人に手伝ってもらうことや、電池を外して軽くすることで上段への駐輪が可能ですが、手間がかかります。
このため、電動自転車を利用する方にとっては駐輪場の確保が重要です。
◇その他のトラブル
電動自転車の駐輪にまつわる他のトラブルには、自転車ラックの破損やセンサーの故障、景観の悪化などが挙げられます。電動自転車は普通の自転車よりも重いため、一部のラックはその重さに耐えられずに壊れることがあります。
また、電動自転車を置くと他の自転車が使えなくなることもあるでしょう。さらに、電動自転車がラックに干渉してセンサーが壊れることもあります。このような問題が解決されないと、自転車が駐輪場からはみ出し、景観が損なわれるかもしれません。
マンション駐輪場の問題解決方法とは?
電動自転車や多様な自転車が普及する中、駐輪場施設の不足や使いにくさが課題となっています。適切な現状把握と種類ごとのスペース分け、垂直2段式ラックへの改修など、具体的な対策を講じることで、住民の満足度を向上させることが可能です。
◇正確な現状把握
問題を解消するには、アンケート調査や現地視察を行い、具体的な問題点を明らかにすることが重要です。マンションの立地や住民構成に応じた解決策を考える必要があります。
例えば、都心と郊外、高齢者が多いマンションと子育て世帯が多いマンションでは、それぞれ異なる対応が求められます。また、住民の年齢構成の変化に伴って問題も変化するため、定期的な現状把握と話し合いが不可欠です。
◇種類ごとに駐輪スペースを分ける
自転車を種類ごとに駐輪スペースに分けることで、限られたスペースを効率的に使用することが可能です。例えば、電動自転車、子ども用自転車、スポーツタイプの自転車ごとにスペースを分け、それぞれに合った幅のラックを設置すると、駐輪がスムーズになります。
特に、電動自転車やチャイルドシート付き自転車を平置きスペースに移動するだけで、住民の不満が大幅に軽減する場合があります。
◇垂直2段式ラックへ改修
「2段式ラックが重くて使いにくい」という声が多い場合、垂直2段式ラックへの改修を検討するとよいでしょう。従来の2段式ラックよりも少ない力で上げ下ろしができるため、女性や高齢者も安心して利用できます。
すぐに改修工事が難しい場合でも、ラックの洗浄やボルトの締め直し、摩耗したローラーの交換など、メンテナンスを行うことで使いやすさが改善されることがあります。
マンション駐輪場の改修事例を紹介
画像出典:ビシクレット
電動自転車が溢れかえる駐輪場に悩んでいたマンション管理組合が、居住者の利便性を最大限考慮した提案で問題を解決した施工事例があります。
このマンションでは、電動自転車が増え続け、従来の自転車ラックには収まりきらず、ラックの外に駐輪されることが常態化していました。特に2段式ラックの上段は使いにくく、ほとんど利用されていない現状です。
また、マンションの立地は都内でも坂が多いエリアであり、電動自転車の需要が急増していたため、設置された自転車ラックは利用できなくなっていました。
そこで、この問題を解決するために、管理組合は2段式ラックを撤去し、電動自転車に対応した新しい自転車ラックを提案しました。具体的には、横倒れせずに安定した状態で出し入れが可能な自転車ラックを導入しています。
このラックは、電動自転車の重さに耐えられるだけでなく、スライド式のため、出し入れが非常に簡単です。また、固定式から可動式に変更することで、居住者の利便性を向上させました。フットブレーキも採用し、ラックを固定して出し入れができるように改善しています。
この改修により、電動自転車の駐輪問題は大幅に改善され、居住者の利便性が向上しました。多様な自転車に対応できるようになったことで、駐輪場の効率もアップし、住環境が整備されました。
電動自転車の出荷数は急増しており、2020年には約74万台、2021年には前年比108%増、2022年以降も増加傾向が続きました。子乗せタイプの普及やバッテリーの軽量化・大容量化が利便性を高め、共働き世帯や子育て世代に人気です。
しかし、マンションの駐輪場では電動自転車の重さやサイズが原因で、駐輪スペースの制限やラックの破損などの問題が発生しています。問題解決には、現状把握や種類ごとのスペース分け、垂直2段式ラックへの改修などが有効です。