マンションの駐輪場に電動自転車を置きたい!解決方法とは?
電動自転車の需要が増加する中、駐輪場のスペース不足やラックの破損などの問題が発生しています。解決策として、電動自転車対応のラックや専用駐輪場を設置することが有効です。実際の事例では、垂直二段式ラックや電動自転車対応ラックへのリニューアルが効果的でした。
目次
電動自転車の人気は高い状態が続いている
近年、電動自転車の需要は増加していますが、それに伴い駐輪場の不足という問題も浮上しています。では、実際の需要はどの程度なのでしょうか。以下のデータを見ていきます。
2022年から2024年9月までの電動自転車の出荷台数を確認すると、2022年は600,108台、2023年は577,729台、2024年9月時点では388,945台に達しています。出荷台数は減少傾向にありますが、それでも依然として高い水準を保っています。
また、au損害保険株式会社の調査によると、特に30代の子育て世代の利用が目立ち、約4人に1人が電動自転車を所有していることがわかっています。
引用元:一般財団法人 自転車産業振興協会
マンションの駐輪場では電動自転車をめぐるトラブルが多発
電動自転車は便利な一方で、さまざまなトラブルの原因になっており深刻です。もともと普通の自転車と比べてサイズが大きく、重さもかなりあります。特に子どもを乗せるタイプの電動自転車は、1人乗り用より重く、重量は30㎏を超えている上にチャイルドシートがある分、縦横共に広いため大型です。
マンション設備をはじめとする一般的な駐輪場は、電動自転車を想定して設計されていないためスペースも狭い上、自転車ラックも電動自転車の重さに耐えられません。結果、自転車ラックが破損してしまったり、電動自転車を駐輪すると両サイドや上段ラックが使えなくなってしまうといったケースもあります。
さらに、ラックの干渉で電動自転車のセンサーが破損してしまうなど、第三者とのトラブルだけでなく個人的なトラブルも多いです。そのため、電動自転車を利用している方にとって駐輪場は最大の悩みでもあります。では、実際に電動自転車を利用している方はどう感じているのか、みていきましょう。
◇実際の声
電動自転車の駐輪には困難が伴います。上段しか空いていない駐輪場では重量物を持ち上げる手間がかかり、また、停める場所がないため、近隣のバイク置き場を利用して高い駐輪代を支払うケースもあります。駐輪場の設計に電動自転車対応のスペースが求められています。
・上段しか空いていないので利用するたびに一苦労
中古マンションを購入した子持ちの方は、マンションの駐輪場に空きがあると不動産会社から聞いたこともあり、駐輪できるものと思っていたようです。
しかし、実際は自転車ラックの下段に空きがなく、上段に乗せるにしても持ち上げなければなりません。重量もある電動自転車を1人で上げ下ろしできるわけもなく、どうしても使用したい場合は管理人の方に手伝ってもらって下ろしているそうです。
また、少しでも軽くするために毎回重い電池を外しているようで、外すのも面倒に感じてしまうとの声がありました。
・停める場所がないので近隣のバイク置き場を利用
同じくマンションに住んでいる方は停めるスペースがなく、マンションから離れたバイク置き場をレンタルして置いているという方は、月々高い駐輪代を払っているようです。
新築マンションの場合は電動自転車の駐輪を考慮して駐輪場を設計しているところも多いですが、築年数がそれなりに経過しているところでは、電動自転車を想定した駐輪場はほとんどありません。
このように、現在は電動自転車を利用する方が増えているものの、駐輪場自体が対応していないため、駐輪に一苦労してしまうという声が多くみられます。駐輪場施設を設計・施工する上で電動自転車の駐輪スペースは課題のひとつです。
電動自転車の問題を解決する方法とは?
年々深刻化する電動自転車の問題に対応するためには、利用者と非利用者の双方が快適に利用できる駐輪場の整備が求められます。特に、電動自転車に対応した駐輪設備の導入が解決の鍵となります。
◇電動自転車に対応している自転車ラックを設置する
現在、多くの駐輪場では電動自転車に適したラックが少なく、ラックの破損などが問題となっています。この問題を解決するには、電動自転車の重量やサイズに対応したラックの導入が不可欠です。垂直2段式ラックや平置きラック、白線引きといった方法が有効です。
・垂直二段式ラック
垂直2段式ラックは、上段が自動で上がるオートリターン機構が搭載されており、取出し後に元に戻す手間が省けます。また、下段はスライドラック方式を採用しており、スペースに余裕がなくても大型の電動自転車を収納できます。バネの力で簡単に操作でき、力がない方でも安心です。
・平置きラック
平面ラックは、前輪を収容するだけで、隣り合うラックに高低差を付けることができるため、ハンドルの干渉を軽減できます。ラック間隔を自由に調整でき、斜めに置けることもメリットです。風で自転車が倒れる心配がなく、安定して駐輪できるのも特徴です。
・白線引き
白線引きは、ラックを設置する方法に比べてコストを抑えつつ、駐輪場の利用を促進します。ただし、隣り合う自転車が干渉し、取り出しにくくなることもあります。都市部や狭い駐輪場では収容効率が低いため、設置には工夫が必要です。
◇電動自転車専用のエリアを設ける
最も効果的なのは、電動自転車専用の駐輪場を設けることです。専用のラックがあれば、電動自転車の重量に耐えられ、破損やスペースの問題も解消されます。また、従来の自転車の利用者にとっても、駐輪スペースが確保されるため、全体的な利便性が向上します。
電動自転車専用の駐輪場は、駐車場や車道から離れた場所に設置するのが理想的です。特に子どもを持つ家庭が多いため、安全性の確保が重要です。親が荷物を降ろしている間、子どもが自転車の近くで遊んでいるときに事故が起きないように、車道から距離を取ることが推奨されます。
電動自転車の問題を解決した事例を紹介
電動自転車でも快適に駐輪できるようリニューアルした実際の事例を紹介します。マンションの駐輪場の改善を考えている方や、電動自転車の駐輪問題を解決したい方は、参考にしてみてください。
◇垂直二段式ラックへリニューアル
あるマンションの駐車場では、以前2段式ラックを使用していましたが、経年劣化や上段の重さが使いづらく、使用率が低かったため、大型の電動自転車を収容できない問題が生じていました。そのため、リニューアルを決断し、垂直2段式ラックを導入しました。このラックは、上段が垂直に上下するタイプで、女性でも簡単に自転車を収容できるようになっています。また、下段にはスライド式ラックを採用し、大型の電動自転車も収容可能になりました。さらに、スライドラックがスムーズに動くように、土間コンクリートの拡張工事も行い、電動自転車の収容がスムーズにできるよう改善されました。
◇電動自転車対応の自転車ラックにリニューアル
別の事例では、駐輪場が電動自転車で満杯になり、ラック外に自転車が駐輪されている状態でした。このため、居住者の利便性を考慮して、電動自転車対応のラックにリニューアルされました。もともとは2段式ラックが使用されていましたが、上段の使用率が低かったため、より適切なラックに変更されました。新しいラックは、電動自転車の重量やサイズに対応し、横倒れしない状態で出し入れできるトップガイド付きです。また、フットブレーキを採用し、ラックを固定して安全に停められるようになっています。
電動自転車の需要は高まっており、特に子育て世代を中心に広がっています。しかし、駐輪場では電動自転車のサイズや重さに対応できない問題が多く発生しています。マンションなどの駐輪場では、電動自転車専用のラックがなく、従来のラックが破損するなどのトラブルが頻発。電動自転車は1台で30kgを超えることもあり、通常のラックでは収容が難しく、ラック外に駐輪するケースもあります。さらに、ラックの干渉によるセンサーの破損や、上段ラックに停める際の重さでの苦労も報告されています。
解決策としては、電動自転車に対応した自転車ラックの導入が鍵となります。垂直二段式ラックや平置きラックが有効で、垂直二段式ラックは自動で上段が上がる機構を備えており、簡単に自転車を収納できます。平置きラックは、隣の自転車との干渉を減らし、安定して駐輪できるメリットがあります。また、最も効果的なのは電動自転車専用の駐輪場を設けることで、重量に耐えるラックが設置され、スペースの問題も解消されます。
実際の事例では、あるマンションで垂直二段式ラックにリニューアルし、女性でも簡単に電動自転車を収納できるようになった事例があります。また、別のマンションでは、電動自転車対応のラックに変更し、ラック外の駐輪問題を解決しました。
電動自転車の問題を解決するためには、駐輪場の設計段階で電動自転車のニーズを考慮し、適切な設備を導入することが重要です。